うまく答えられなかった経験
人から何かを聞かれてうまく答えられなかった経験というのはきっと誰でもあるのではないでしょうか。
聞いてきた相手が気にしていないようであれば、それ以上、何もする必要はないのかもしれませんが、自分の中には腑に落ちないものが残ります。
気になって後からもう少し調べてみても納得いく答えが見つからないということもあります。
今回は、私がうまく答えられなかった経験について書いてみたいと思います。
公認会計士に付いている『公認』とは
公認会計士試験に合格したばかりの頃、人から「公認会計士の『公認』っていうのはどういうことなの?」と聞かれたことがあります。
雑談の中でのなにげない質問であったこともあり、明確な答えをもっていなかったそのときの私は「公認会計士は国家資格だから、国(公:おおやけ)が認めているという意味で『公認』ってついているんじゃない」と答えました。
このときうまく答えられなかった事はしばらく頭の片隅に残っていて、自分なりに追加で調べてもみましたが、残念ながら納得いく答えにはたどり着けませんでした。
それから長い時間が経過し、今回、独立開業を機に、あらためて、公認会計士の歴史を調べてみると、ある書籍の中にこの資格の名称の経緯に関する記述がありました。
それによると、
・日本の公認会計士制度は、戦後、アメリカのCertified public accountant(CPA)制度をならって導入されたもので、公認会計士の名称はCPAの和訳による
・CPAという資格制度が確立される前、アメリカでは自称会計士が様々な顧客に対して、監査、税務、企業買収時の財務調査、会計制度設計コンサルティングなど会計周りの仕事を報酬を得て行っていた。これらの自称会計士は、特定の企業に属さないことから、公会計士(Public accountant)と呼ばれ、今でいう会計コンサルタントに近いイメージであった。
(対して、特定の企業に属して、もっぱら当該企業の会計業務を行う者はPrivate accountant、今でいう会社の経理部社員のイメージ)
・当時の公会計士は自称であったため、中には質の伴わない者もおり、問題があったため、資格試験の実施を伴う職業の法定化が行われ、当該試験に合格した者のみにCPAの名称使用を認めることとされた。つまり、試験に合格した(Certified)公会計士(Public accountant)がCPAの由来。
答えは必要となったときに向こうからやってくる
長年、知ることのなかった『公認』の意味。。
これは日本語の文字が意味する”公認(公が認めた)”会計士ということではなく、英語の成り立ちからすると”試験に合格して能力が証明された”公会計士(=会計コンサルタント)という意味であると知りました。
独立後は自分の進む道を自分で決めていくことになります。
私のように公認会計士が税理士登録して独立する場合、行う業務は公認会計士として行う監査と税理士として行う税務の2択で、この2つをどうミックスするかを考えることが多いです。
アメリカの公会計士は監査、税務に限らず会計関連のあらゆる業務を依頼人に提供していました。
独立開業に際して、そもそもの公認会計士の成り立ちの歴史を知れたことは、今後の道を考えるにあたって、監査、税務のほかにも広がる可能性を感じることができました。
何十年も前に「公認会計士の『公認』っていうのはどういうことなの?」と聞かれたとき、そのときの自分は独立開業するつもりはありませんでしたし、まして、独立後の方向性を考えるにあたっての示唆に繋がるとも思ってもいませんでした。
生きていると、たとえ、その時点では意味が分からなくても、必要なときに答えが向こうからやってくるということがあります。

