なぜ円安はインフレに繋がるのか?
最近、ニュースで円安について取り上げられることがあります。
仮に1ドル=100円が円安の進行により1ドル=200円となれば、同じ1ドルのものを買うのに必要な円は100円から200円に増加します。
つまり、ドルベースではなんら価格変化がないにも関わらず、円ベースでは2倍に価格上昇が起こります。
日本は食料やエネルギーを輸入に頼っています。このため、円安の進行は輸入によって調達する食料やエネルギーの円ベースでの価格上昇をもたらします。そして、それらを原材料や燃料として使用する企業は仕入価格の上昇を販売価格へ転嫁するため、人々の生活にインフレとして広範に影響を与えます。
円安のプラス面は何かないか?
一方、円安がもたらす恩恵はないのでしょうか?
世界全体で見たときに、円安の進行は日本が割安になることと言われる場合があります。
視点を、日本の中から、日本の外、つまり海外に移してみましょう。
基軸通貨ドルを中心に動く海外から日本を見ると、円安(=ドル高)は、従来1ドルで100円の物しか買えなかったものが、同じ1ドルでその物を2つ(100円×2)あるいはより高価な200円の物を買えるようになることを意味します。
つまり、海外から見ると、円で売られている日本のものはドルで買いやすい状況が生まれています。
このことは、たとえば以下のような領域でプラスに作用します。
・外国人観光客向けのビジネス
国の統計資料によると、直近2025年に日本を訪れた外国人観光客は4,000万人を超え右肩上がりに増加しています(観光庁 訪日外国人旅行者数・出国日本人数の推移より)
・円安が海外から日本への企業投資を後押しする
2026年7月、米半導体大手マイクロン・テクノロジーはその子会社マイクロンメモリジャパンの広島工場でクリーンルーム拡張工事(総投資額1兆5,000億円、1,000人以上の雇用創出)に着手しています
円安のマイナス面、プラス面は見え方が異なる
円安のマイナス面は広範に影響する反面、プラス面は偏在します。
また、人には物事の「損失」を「利益」より敏感に感じる損失回避バイアスというものがあります(こちらのブログ記事参照)。
このため、相対的に円安のマイナス面は強く感じる一方、プラス面はもし身近に在っても気づきにくくなっています。
これを頭に置いて、ご自身の商売(ビジネス)を見渡してみると円安のプラス面を見つけられるかもしれません。
為替の変動は自分ではコントロールできませんが、「それをどう捉えてどう動くか」は経営者の自由です。一度「自社にとっての円安のプラス面、あるいは逆手に取れるポイント」を書き出してみてはいかがでしょうか。
当事務所では、顧問契約がない場合であっても、単発相談というかたちで前広にご相談いただけます。
(注)この記事は為替にフォーカスして解説をしたものです。実際の経済は世界情勢などその他の複合的な影響で動き、為替以外の要素も関連する点、ご留意ください。

