なぜ自分で「本当の強み」を知るのは難しいのか?
独立や転職を考えたとき、多くの人は「自分の強みは何だろう」と考えます。
でも、自分で自分の強みを正確に知ることは案外難しいものです。
「平均的なドライバーより運転が上手いと考える人は全体の約90%」という実験結果が示す通り、人は自己認識を実際より上振れして考える傾向があるためです。
自分の強みを知る方法は種々あります。
その中に、過去、他の人より長い時間をかけて経験してきたことが強みを生むという考え方があります。
数を多くこなすことで経験値が増し、それはその分野での強みとなります。
数を多くこなすためには、結果として人より長い時間をその分野に投入することが必要です。
人は、自分の能力そのものを正確に評価することは難しくても、「何に長い時間を費やしてきたか」という事実は客観的に振り返ることができます。
そのため、長く続けてきた経験は、自分の強みを知る有力な手掛かりになります。
監査経験が教えてくれた私の強み
私は公認会計士として上場企業等の監査を約20年やってきました。
監査では、常に懐疑心をもって顧客企業を見ることが求められます。
懐疑心とは物事や情報に対し「本当だろうか」「信用できるだろうか」と理性的に疑う心をいいます。
(他人の言動や行動に対し「陥れようとしているのではないか」「裏があるのでは」と妬みや嫉みなどの感情を伴って疑う猜疑心とは違います)
また、監査で実施した内容は監査調書という文書にまとめていきます。
もし、後日、監査を実施した企業で粉飾決算があった場合、監査に手落ちがなかったのか、監査調書に書かれている内容をもとに判断されます。
したがって、監査調書は、監査の過程で、どのような資料を見て何を検討してOKと判断したのか、後日、第三者が見て理解できるような記述をしていく必要があります。
監査を通じて培った徹底して懐疑心をもつことは、先日のブログ「このホームページのサイトタイトルに「哲学」を入れている理由とは」に記載した当たり前を疑う姿勢そのものです。
また、このブログを通じて自分の考えを発信することができているのは、監査調書と長い間、向き合ってきたからこそです。
始めから監査の経験を活かそうと思って今のスタイルを作ったわけではありませんが、改めて振り返ると、監査の経験があったからこそと言えることに気づきます。
まとめ:長く続けてきたことの中に、あなたの強みが眠っている
独立や転職など、人は新しい道へ進むとき、新しい強みを探そうとしがちです。
しかし、実は長年積み重ねてきた経験の中にこそ、自分らしい強みが眠っているのかもしれません。
当事務所では顧問サービスの開始時に、お客様の今後の目標と合わせて、これまでのご経験についてもお話を伺っています。
それは、過去の経験の中に、お客様自身も気づかれていない強みがあり、それが目標達成に役立つかもしれないと考えるからです。

