起業して感じる痛税感
サラリーマン生活を経て個人事業主として独立開業された方から、ときに「個人事業主は税金が高い」という声を聞くことがあります。
かく言う私も独立当初、同じ感覚をもっていた時期があります。
でも、本当にそうなのでしょうか?
いろいろ整理してみると、税金そのものが高くなったというより、サラリーマンと個人事業主、それぞれの税金の仕組みの違いが、感覚としての負担を生んでいることが分かります。
独立は税金との向き合い方が変わる大きなタイミングです。
痛税感は制度が生むものであると同時に、自分の進む方向を自身で決めていくことから生じる証とも言えます。
今回は、個人事業主が痛税感を覚える3つの点について書いていきます。
痛税感に通じる3つの要因
①独立初年度の住民税
住民税は1月1日~12月31日の所得をベースに翌年6月に、その額が決まり、地方自治体から通知されます。例えば、2025年12月31日付で会社を退職、2026年1月に個人事業主として開業した場合、開業初年度は利益が少ない、場合によっては赤字であっても、住民税はサラリーマン時代の2025年の所得をベースに決まった額を納付することになります。
なお、この構造は、国民健康保険料も基本的に同じで、独立初年度は事業で利益が出ていないにも関わらず、住民税と国民健康保険料のダブルパンチのように感じられます。
②自分の懐に一度入ったお金から税金を納めるということ
独立後、事業が軌道に乗り利益が計上されるようになると、それをベースに所得税、住民税を納付することになります。
サラリーマン時代は、給与から予め所得税、住民税や社会保険料が差し引かれた金額が振り込まれます。個人事業主の場合には1月1日から12月31日までの所得を計算し、翌年3月15日までに確定申告し、申告した所得に応じた税額を納付することになります。つまり、いったん、自分の懐に入ったお金から、事後的に改めて税金を納付するということです。
サラリーマン時代、納めていた所得税、住民税や社会保険料は毎月の給与明細と年末に受け取る源泉徴収票で見ていましたが、それは書類上の数字くらいにしか感じませんでした。それが、個人事業主の場合、実際にお金の動きがあり、しかも、税金の支出が後ろにタイミングがずれているため、余計に負担を感じやすい面があります。
③事業税
さらに事業が順調に推移し、事業所得の金額が一定額を超えた場合、事業税が課されます。事業税も住民税と同じく、前年の確定申告により申告した所得をベースに計算され、地方自治体から納税額が通知されます。
前年まで届いていなかった通知書が、ある年に、突然、送られてくる背景には事業所得の増加があります。
対応策として考えられること
大まかでよいので、それぞれの税金の仕組みを理解しておくことは痛税感を和らげる1つの方法です。
さらに、可能であれば、その年の後半、今年1年間の利益見込みが立ってきた段階で、それぞれの納税額と納税時期を概算でシミュレーションしておくことが考えられます。
独立すると、売上も利益も、そして税金も、自分の事業の結果として引き受けることになります。税金を避けて通ることはできませんが、いつ、どれだけ支払うのかを知っておくことで、事業の進む方向を自分で考える余裕が生まれます。
当事務所では、
・税金の仕組みの解説
・納税額のシミュレーション
など、独立後の不安を軽減するお手伝いをしています。
独立は、誰にとっても大きな転換点ですので、お気軽にご相談ください。

