企業買収から見えてくる「価値」と「価格」

お金

商売(ビジネス)で使われる「価値」と「価格」

商売(ビジネス)をするにあたっては、顧客にとっての「価値」を考えよと言われます。

また、「価値」と「価格」は似て非なるもので、前者は主観的、後者は客観的とも言われます。

今回、「価値」と「価格」について、私の前職での経験を踏まえ書いていこうと思います。

企業買収での経験

私が前職の監査法人に在籍していたとき、担当している監査先企業A社が、ある企業B社の全株式を取得し、子会社化するということがありました。いわゆる、企業買収です。

この際、A社が取得したB社株式の譲渡金額は双方合意により1円とされました。

B社はそれなりに歴史ある会社で、借入金もありましたが、自社工場や在庫、売掛金などの資産もあり、貸借対照表上の資産から負債を差し引いた純資産はプラス(仮に2,000万円とします)となっていました。

つまり、2,000万円の純資産をもつB社が1円でA社に売られたということです。

まだ、企業買収に慣れていなかった当時の私は、初見で、なぜB社経営陣は2,000万円のものを1円で売るようなことをしたのか、意味が分かりませんでした。

監査の過程で、いろいろお話を伺い、資料を確認してみると、B社は業績が下降していて、今ある純資産2,000万円も早晩マイナスに転じる状況にあることが分かりました。B社経営陣としてはすでに万策尽きて、A社への売却を決めたものでした。

逆にA社は、業績下降中のB社をなぜ買おうと考えたのか?
こちらもお話を伺っていくと、A社の既存ビジネスとB社のビジネスとの相乗効果が期待できることに加え、A社の経営ノウハウを注入すれば、十分、業績を上向かせることが可能と見ていることが分かりました。

つまり、B社の今の状況について、B社経営陣はマイナスの価値(仮に△5,000万円)で評価しているのに対し、A社経営陣はプラスの価値(仮に5,000万円)と評価していたのです。

あらためて「価値」と「価格」とは

ここで、実際の譲渡金額1円は「価格」です。

一方、B社から見た△5,000万円、A社から見た5,000万円はそれぞれにとっての「価値」です。

これが、「価格」は客観的、「価値」は主観的といわれる所以です。

もし、自分が物やサービスを売る立場にいる場合、顧客にとっての「価値」を考えることが重要です。

なぜなら、「価値」を感じていない人に対して、物やサービスを売ることはとても難しいからです。

「価値」を感じていただけるお客様、いわゆるターゲット顧客を明確にすることがビジネスの成功に繋がります。

当事務所では、顧問先の売上データを「いつ、誰に売れば、最も売上に繋がり利益が残るか」という視点で分析し、ターゲット顧客を明確にするサポートをしています。
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